本コラムでは、「日本の電力の近未来」についてお伝えしてまいります。
皆様は化石燃料(資源エネルギー)というと何と答えますでしょうか?
ほとんどの人が「石油」と答え、その次に「天然ガス」「石炭」と答えるのではないでしょうか。
今、世界での資源エネルギーは皆さまが学生時代に習った状況とは全く変化しているのです。
「石油」といいますとサウジアラビア、UAE、イラン、イラク等を中心とした中東をイメージするでしょう。
確かに現在の石油マーケットの中心は中東といっても過言ではありません。
しかし、化石燃料は無尽蔵に埋蔵し、産出されるものではありません。
このたった10年で世界の資源エネルギー覇権は大きく変化をしました。その主役は「米国」と「ロシア」です。
米国は「シェールガス」を中心とした資源エネルギー輸入国から輸出国へと変貌を遂げ、
シェールガス産出コストも石油産出コストを大きく下回り、昨今の経済発展に大きく寄与しているのです。
下記は米国のシェールガス産出量を示したグラフです。
これを見ておわかりのように、この10年で劇的な産出量となり、石油の1バレル100ドル超の価格に比べて、
圧倒的な競争力を持つことになったのです。
・近年、1つの掘削装置(リグ)から生産される生産量が急増。
これは地質分析にビッグデータを用いる等、IT技術の活用によって生産技術が高まったことが要因。
・従来、採算可能な基準は1パレル40~70ドルであったが、30~40ドルでも安定的に採算が可能に。
出典元:EIA / Natural Gas Data
次のグラフは米国における石油と天然ガスの輸出入量の推移です。
このグラフを見ても米国がこの10年で真逆の状況となっていることが伺えます。
下記地図と表は「チョークポイント」における「チョークポイントリスク」を年代別に表したものです。
*チョークポイントとは、重要な航路が集束している地点のこと。
物資輸送ルートとしても広く使われている狭い海峡を指しますが、原油やLNGなど大量のエネルギー輸送に際しても利用されることから、
その安全確保、あるいはそこに依存しない輸送ルートの確保はエネルギー安全保障にとって非常に重要な要素となります。
注目すべき点は米国のチョークポイントリスクが劇的に下がっていることです。
これは現代戦争がエネルギー安全保障に起因することが多く、
現在進行中のロシアとウクライナの戦争も天然ガス輸送に係ることがきっかけであったことは言うまでもありません。
米国はチョークポイントの安全確保を同盟国に担保することが役割の一つであったのですが、
リスクの大幅な低減によりその役目役割も大きく変化したことが伺えます。
つまり、自国のエネルギー安全保障は自国で解決しなければならないという局面となったということになります。
下記グラフはロシアからの天然ガス輸入依存度についてです。
このグラフからドイツやイタリア、フィンランドなどの日本の友好国においてロシア産天然ガス依存度が非常に高いことがわかります。
今、国際社会による経済制裁の応酬によりドイツやイタリア、フィンランドなどの国々ではエネルギー危機が起こっています。
つまり、ロシア産天然ガスは世界の資源エネルギーにおいて非常に大きな役割を担っていたことから、起こるべくして起こった危機なのです。
現在、エネルギー危機に陥っている国々では代替輸入が始まっており、
ドイツではフランスと電力融通を実施するなど、様々な対策が取られています。
結果的に世界での資源エネルギーの奪い合いが始まり、価格の高騰が常態化することを意味します。
日本国内における電力価格の高騰は始まったばかりであり、仮に円安が止まっても、
そもそもの資源エネルギー価格の高騰は止まらないということになります。
つまり、再生可能エネルギーを限りなく導入し、調達した(発電した)電力を自己防衛のために備蓄しておくことは
デマンドコントールの観点からも、コストパフォーマンスの観点からも必要なこととなります。
「蓄電池」の導入にはこういったしっかりとした理由があり、早めの対策を打つ必要があるということがおわかりいただけると思います。
蓄電池の購入、設置を検討されている、選び方に不安をお持ちの方は ぜひ一度小川電機にご相談ください!
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