FIT(エネルギー固定価格買取制度)が終わることを踏まえ、蓄電池の導入を検討する方が増えてきています。
各メーカーの様々な商品があり、何を判断基準に選べばいいのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、本コラムでは蓄電池選びに欠かせないポイントを整理しました。
導入の検討の際のご参考にしていただければと思います。
蓄電池の容量の選び方のご説明の前に、蓄電池の「定格容量」と「実効容量」の違いについてお伝えいたします。
「定格容量」は規定された条件下で蓄えられる電力量で、「実効容量」は実際に使用できる電力量のことを示します。
各メーカーのカタログでは、家庭用蓄電池の製品欄に記載されている容量が「定格容量」 です。
「実効容量」については、カタログなどへの記載がない場合が多いです。
「実効容量」は言葉の通りで実際に使用できる容量のことです。
次に「kW」と「kWh」の違いについてお伝えします。
太陽光発電の容量を表す「kW」と蓄電池の容量を表す「kWh」の違いは
「kW」(キロワット)は、瞬間の電力の単位、「kWh」(キロワットアワー)は
太陽光発電システムなどを1時間(h)発電し続けた時の発電量を示します。
■ 設置済みの太陽光発電と併せて利用したい場合
設置済の太陽光発電システムで発電した電力を有効利用するために蓄電池を導入する場合、
発電できる電力と蓄電池にまわしたい(蓄えたい)電力を考慮して選びます。
太陽光発電システムの1日あたりの平均発電量や余剰電力量、消費電力量を把握した上で、蓄電池の容量を決めましょう。
・1日当たりの平均発電量から容量を決める
設置済の太陽光発電の平均発電量から算出する場合、1日あたりの平均発電量から自家消費分を除いて蓄電池の容量を算出します。
たとえば、システム容量が4kWのソーラーパネルが設置されていると仮定し、1日の平均発電量が12kWhの場合、
自家消費分の約3割を引いて8kWhの蓄電池が適した容量となります。
ただし、実際の発電量は天候や設置する場所などの環境によっても左右されるますので、あくまでも目安として参考にしてください。
まだ太陽光発電システムを設置されていない場合は、固定買取の終了後を見据えて
夜に使用する電力量から容量を考えるのが良いでしょう。
蓄電池を活用すれば、夜間(太陽光発電システムが稼働しない時間帯)の分まで太陽光発電で創った電力を貯めて、
自家消費へまわせるようになります。
■深夜電力を有効利用したい場合
各電力会社によって時間帯別契約の電力単価が異なりますが、
全ての電力会社で深夜電力の単価は昼間の電力単価より比較的安く設定されています。
深夜の電気料金が安いプランを利用すると、蓄電池を活用して電気代を節約できる可能性が高まります。
深夜電力は、昼間の電気代は高めに設定されていますので、昼間よりも夜間に多く家電製品などを使われるご家庭に向いています。
まだ深夜電力プラン未契約の場合には契約が必要となります。
深夜電力料金が適用されるのは、一般的に夜10時から朝7時です。
深夜電力プランが適用される時間帯は、電力会社によって異なりますので確認しておきましょう。
■停電時に備えたい場合
近年、台風や地震などの災害による停電が増えています。
電力供給が途絶えたときでも電気を使えるのが蓄電池のメリットのひとつです。
蓄電池は全負荷型か特定負荷型かによって、停電時の対応が異なります。
停電時に普段と変わらない生活がしたいのか最小限の家電製品が使えれば良いのかなど、
停電時に使いたい家電製品の消費電力量を事前に把握しておく必要があります。
その上で、必要な量を蓄えることができる容量の蓄電池を選びましょう。
★参考
・主な家電製品の消費電力
■停電時にどのような使いかをしたいか…
・全負荷型
家庭用の電化製品は、100V電源で稼働しているものと200V電源で稼働しているものの2つのタイプがあります。
よって蓄電池も同様に100V対応と200V対応に分かれています。
ちなみに、200V電源を必要とするのは消費電力の大きいエアコンや冷蔵庫、電子レンジやIHクッキングヒーターやエコキュートなどです。
したがって、停電時にほとんどのお部屋で電気が使用でき、普段と変わらない生活をしたい場合は
200V対応の全負荷型蓄電池が必要になります。
部屋数の多いご家庭や、オール電化住宅のご家庭に向いたシステムです。
ただ、当然ながら消費する電力が多くなりますので、蓄電容量が大きい蓄電池が必要となりますので、価格も高額になります。
・特定負荷型
一方、特定負荷型蓄電池はあらかじめ指定した一部の電源にのみ電気を供給します。
そのため、停電時でも必要最低限の家電をより長時間使用できます。
以上のように、全負荷型と特定負荷型はそれぞれメリットが異なります。
ご家庭の環境や停電時の電気の使い方を検討し、選ぶようにしましょう。
家庭用蓄電池は、屋内設置と屋外設置で分かれます。
製品によって設置環境が異なる場合がありますので、検討する際は注意が必要です。
蓄電池の設置場所は、使用環境とサイズ・重量の2つの観点から慎重に選ぶ必要があります。
使用環境については、故障や性能低下の原因となってしまうので十分に注意しましょう。
高温多湿な環境や南面など直射日光が当たる場所の設置は推奨されていません。
蓄電池は種類によって大きいもの、重量があるものもあり、思った以上に設置場所が限られてきます。
設置スペースは、蓄電池本体のおおきさに加えて作業スペースの確保も必要です。あらかじめ蓄電池のサイズをきちんと確認し、
設置工事の前にできる限り現地調査をしてもらい、事前にいくつかの設置場所の候補を検討しておきましょう。
沿岸部にお住いの方は重塩害地域対応の機器を選定しましょう。
また、蓄電池は水にも弱いので浸水しない場所、極力地面よりも高い位置に設置しましょう。
蓄電池は10年から20年と長く使用していく製品なので、寿命も重要なポイントのひとつです。
蓄電池の寿命は、『サイクル数』がひとつの目安になります。
1サイクルの数え方は、電池残量が 0%の状態から 100%まで充電を行い、
そこから 0%になるまで使用までを 1サイクル( 1往復が 1サイクル)となります。
つまり、何度繰り返し充放電できるのかを、サイクル数として寿命を表しています。
蓄電池は、サイクル数を重ねていくにつれて徐々に劣化していき、少しずつ最大容量が減少していきます。
サイクル数は、メーカーや機種ごとに設定されている数値が異なります。
一般的な家庭用蓄電池で使用されている「リチウムイオン電池」の寿命はメーカーや種類によって異なりますが、
10年から15年、4000~6000サイクルが目安となっております。
蓄電池のサイクル数と1日の充放電回数がわかればおおよその寿命がわかります。
ただし、あくまでも目安であり、サイクル数が超えたとしても経年劣化により充電可能な容量が減りますが
すぐに使えなくなるわけではありません。
一般的に家庭用蓄電池の保証期間、は10年から15年ほどです。
ただし、メーカーや販売会社によってもその期間内に保証してくれる満充電での蓄電容量や保証内容が異なりますので
しっかりとチェックし確認しておきましょう。
ご家庭の電力の使用状況を把握し、ご家庭の環境やニーズに合わせて適切な蓄電池を選びましょう。
蓄電池の購入、設置を検討されている、選び方に不安をお持ちの方は ぜひ一度小川電機にご相談ください!
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