近年の気候変動の影響等による気候の急激な変化や自然災害の頻発化により
「防災対策としての電力確保への意識の高まり」から、自然災害への “備え” として再生可能エネルギーが再び注目を集めています。
また、東京都は大手ハウスメーカー等が供給する新築住宅等を義務対象とし、
太陽光発電設備の設置、断熱・省エネ性能の確保等を義務付ける制度を創設しました。(2025年4月より制度開始)
さらにZEH基準が2030年度からの新築住宅で義務化となります。
そこで本コラムでは、太陽光発電の疑問を検証した記事を掲載させていただきました。
太陽光発電の疑問 Q&A
Q1. 今から太陽光発電を設置しても元は取れる?
A1. 自家消費と売電の組み合わせで、約10年で投資回収可能。 補助金活用により期間短縮も。
FIT (固定価格買取制度) が始まった当初の買取価格は、住宅用で42円/kWh、産業用で40円+税/kWhだったのが
2023年度の買取価格は、家庭用で16円/kWh、産業用で10円+税/kWhと大幅に下がってきています。
このことより「太陽光発電は設置しても元が取れない」「儲からない」と言った声が多くなってきています。
確かに買取り価格は年々下がってきていますが、併せて太陽光発電システム自体の価格もどんどん下がってきています。
自家消費と売電を組み合わせると約10年で投資回収も可能です。補助金が上手く活用できれば更なる期間短縮も可能です。
更に昨今の電気代高騰を考えると今後、自家消費による経済メリットも益々大きくなっていくと考えられます。
Q2. 太陽光発電の寿命が心配!すぐに壊れるのでは?
A2. 20年以上稼働の実績があり、メーカー保証も最長40年と長寿命が期待できる。
太陽光発電の寿命における明確な定義というものはありません。
製品自体も様々な素材から作られ、また設置場所の状況 (気候や湿度や温度その他様々な条件) により
幾重にも劣化原因が複雑に重なり合うためです。
多くのメーカーが保証を20年~30年と記載し、また実際に40年間稼働し続けている設備や、
25年間ノーメンテナンスで稼働しているシステムもあるので太陽光パネルの寿命は、相当長いと考えられます。
一方、太陽光パネルの劣化率の面から見てみてもメーカーが保証している数値を見ると
0.55%/年や0.4%/年といった数値が見受けられます。
これは仮に劣化率を0.5%として計算してみても20年で10% (1割) の低下に留まるレベルです。
但し、パネル寿命が20年~30年に対し、パワーコンディショナーの寿命は一般的に10年~20年とパネルより短い為
先にパワーコンディショナーのみを交換する必要があるかもしれません。
Q3. 自然災害発生時のパネル破損や感電・火災リスクはどうなのか?
A3. ある程度の荷重には耐えうるが、避けられないリスクもある。正しい施工や保守点検による備えで被害軽減を。
JIS (日本工業規格) という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。
このJISの中に「JIS C 8955]というのがあり、これが「太陽電池アレイ用支持物の設計用荷重算出方法」という規格になります。
この規格に準拠した太陽光パネル (使用部材含む) や規格に沿った施工をすることで、
想定内の自然災害時のリスク (地震による崩落や風圧による飛散など) を避けることが出来ます。
ただ、昨今想定外 (想定以上) の自然災害の発生が多くなってきていますので、
定期的なパネルの点検作業等を怠らないことが災害時の被害を最小限に抑える備えとなります。
また、自然災害を起因とした水害によるパネルの水没・関電の危険性も想定されます。
東日本大震災時の津波浸水によるパワーコンディショナーからの火災 (出火) 発生事例も報告されています。
これは、パワーコンディショナー内部に海水が侵入し、端子の腐食や、端子の絶縁劣化が起こったのではないかと推測されます。
太陽光パネルは、たとえ水没した場合でも日射を受けていれば300V以上の電気を発生し続けます。
パネルが水没するような状況では、感電の危険性が極めて高く危険であると心し、パネルに近づかず、触らず、
専門業者に連絡して感電防止対策を取るようにすることが大事です。
ある程度の自然災害への耐久性はありますが、避けられないリスクもあるということを肝に銘じ、
メリット・デメリットを含め「正しく恐れる」ことが重要です。
Q4. 製造時のエネルギーは生涯発電しても取り戻せない?
A4. 2年程度の稼働で製造時に消費したエネルギーを回収できる。
「太陽光パネル製造時にも大きなエネルギーを使っているから結局環境にいいのか
また省エネになっているのかもわからない」という声が多くありました。
確かに太陽光パネルが登場し出した 30年以上前なら性能も悪く
20年間発電しても取り戻せないといった話も真実だったかもしれませんが、
現在では必要十分な性能のシリコンに置き換わっていますのでそういった心配はありません。
太陽光パネル製造時に係るエネルギーは、NEDOや産総研で公表されている数値から見ても、
遅くとも2年程度の稼働で回収出来ると見られます。
太陽電池の寿命が20年以上であることを考慮すると、製造時のエネルギー消費以上にクリーンなエネルギーが利用できると言えます。
Q5. 廃棄時の有害物質含有やリサイクル等処理問題、実際どうなの?
A5. 有害物質は適正に回収・処理すれば問題なし。金属リサイクルしても廃棄コストと同レベルに。
環境・土壌汚染防止の点において有害物質の管理が必要となるが、太陽光パネルに含まれる鉛自体が問題なのではなく、
適正に回収し処理する体制が整っていないことが問題である。
日本の現在の廃パネル処理については、適正処理のルートを実行できる収集から処理の社会システム構築と、
そこに誘導できる管理方法 (組織) が必要であるが、こうしたシステムがまだ構築されていない。
そこで、適正な回収と処理として、太陽光パネルの収集・リユースおよび非鉄金属の回収を進める団体である
『PV CYCLE JAPAN』では、太陽光パネルの持続可能な廃棄物管理を行うための活動を開始している。
一方、リサイクルなど処理費用の問題について、環境省では金属回収実証試験を実施し、
最終処分場への投廃と変わらない処理費で、資源循環が可能になることがわかった。
また、工場は設備の稼働率が上れば単価を下げることができる為、
一定量を収集するとリサイクルの方が処理コストは安価になっていくだろうと見解を示している。
蓄電池の購入、設置を検討されている、選び方に不安をお持ちの方は ぜひ一度小川電機にご相談ください!
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